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最高裁判所第二小法廷 昭和44年(オ)770号 判決 1969年10月17日

上告人

栗山りん

右代理人

東鉄雄

被上告人

恵木ふくえ

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

所論訴の取下の合思に関する原審の認定は、原判決挙示の証拠に照らして肯認することができる。そして、記録によれば、上告人申請の証人坂口繁昌および被控訴人(上告人)本人は、所在不明のためその呼出ができず、原裁判所の催告にもかかわらず、右本人らの住所が補正されぬまま放置されており、また、被上告人の所論の主張を記載した準備書面が被控訴代理人に送達されているにもかかわらず、同代理人はその後開かれた原審の口頭弁論期日に出頭せず、右準備書面記載の主張に対する認否ならびに反証の申出をもしなかつたことが明らかである。かかる事情のもとにおいては、原審がさらに弁論を続行して、被控訴人(上告人)に右の点に対する反論および反証の申出をさせなかつたとしても、その手続になんら所論の違法があるとはいえない。しかして、原判示のような訴の取下に関する合意が成立した場合においては、右訴の原告は権利保護の利益を喪失したものとみうるから、右訴を却下すべきものであり、これと結論を同じくする原審の判断は相当である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎 村上朝一)

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